理事長挨拶

理事長

前田 ひとみ

ご挨拶


 このたび、大島弓子前理事長の後任として、日本看護学会教育学会第8代理事長を拝命いたしました。微力ではございますが、看護学教育研究において長い歴史を刻んできた本学会の理事長として、本邦の看護実践の質の保証と改善を目指した看護学教育研究に真摯に向き合ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 日本看護学教育学会は、1952年看護婦学校専任教員養成講習会の卒業生により看護教育研究会が組織されたことに端を発しています。その後、看護学教育の向上を図り、看護学の発展に寄与することを目的に1991年7月29日に日本看護学教育学会が設立されました。さらに、学術団体としての社会的役割を果たすために、2014年に「一般社団法人日本看護学教育学会」に名称を変更しました。
 学会の名称の「看護学教育」ということばの定義については、本学会の目的を踏まえて、看護基礎教育と大学院等の学校での教育を中核としながら、継続教育も含むことができる定義となるよう検討が重ねられました。そして、2015年に看護学教育とは「看護実践の質の保証あるいは改善のために、看護職を志向する者および看護職の資格を有する者を対象として、看護学の体系に則って展開される教授学習過程である。」と定義されました。
 新型コロナウイルス感染症パンデミックで急速に進んだデジタル化や人生100年時代の到来等により、人々の健康上のニーズはますます多様化・複雑化しています。さらには、今後、100万人の大都市が毎年1つ消滅するようなスピードで人口減少が進むことも予想されています。すでに入学者数が入学定員を下回る、「定員割れ」の看護基礎教育機関も生じています。人手不足の解消に向けた人工知能(AI)の開発が目覚ましく進んでいますが、看護職として人々の多様な期待に応えるために、AIには果たせない、真に看護師が果たすべき役割を十分に考え、実行できる人材の育成に向けた看護学の教授学習過程の探究が求められます。
 前理事会では大島理事長のリーダーシップのもと、看護学教育の質担保と向上に向けて、資料等のデジタル化とアーカイブ化、学会誌の電子ジャーナル化等、様々な改革を進めてこられました。今期理事会においてもこれらを継承しつつ、看護学教育の次世代を担う会員の支援と育成、看護学教育研究の深化を目指して、会員の皆様に意味ある還元ができる学会運営を心がけて参ります。
 伝統ある日本看護学教育学会の代表として、誠心誠意努めさせていただく所存です。会員の皆様におかれましては、今後も益々の活発なご活動を続けて頂き、本学会へのご支援、ご協力をお願い申し上げます。